高校2年MSツアー

〜5日目〜
月曜日から始まったMSツアーも最終日を迎えました。
最終日の今日は、横浜みなとみらいを中心とした、都市景観計画の実地研修を行いました。山下公園から港のようすなどを見学したあと、日本初、世界最先端の都市循環式ロープウェイである「YOKOHAMA AIR CABIN」に乗りました。JR桜木町駅と新港地区の運河パークを結ぶAIR CABINは、街を高所から楽しみながら移動できる観光振興施設として、新たな横浜みなとみらいを創出しています。約8分と時間は短かったですが、高い位置から見るみなとみらいの美しさに大満足の時間を過ごすことができました。
そして、このツアー最後の研修地は、日本丸メモリアルパークでした。ここでは、国指定重要文化財である帆船日本丸の船内を見学したり、横浜みなと博物館で横浜港の歴史や暮らしを学びました。最後の最後まで時間いっぱい研修するとこができました。
昼食後、新横浜駅に向かい、帰宅するため新幹線に乗りました。
中学1年生から始まったツアーもいよいよ終わりの時を迎えました。途中、新型コロナウイルスの影響で実施できない年もありましたが、最後のチャンスである今年、今までにないぐらい充実した研修を行うことができました。今後もMSツアーで学んだ数々のことを忘れずに、そして今までに関わってくださったすべての方々への感謝の気持ちを忘れずに、さまざまなことに積極的に挑戦し、成長していきたいと思います。


〜4日目〜
4日目の午前は北海道最後の研修地である釧路湿原に行きました。釧路湿原は日本に残された最大の湿原であり、夏場はタンチョウの子育ての場になるなど、希少な野生生物の生息地として重要な地域になっています。まず最初に北斗展望台から釧路湿原を見ましたが、どこまでも続いているのではないかと思うくらい壮大な湿原に心を奪われました。その後、温根内ビジターセンターから1時間ほどかけて釧路湿原の西側のごく一部を見学しました。今回の案内人は4日間北海道について数々のことを教えてくださったバスガイドさんでした。数日前にはクマの目撃情報などがあったそうですが、今日は快晴で気温が高かったため、残念ながらタンチョウなどの姿を見ることはできませんでした。しかし、釧路出身のガイドさんから幼少期の頃の釧路と今の釧路の環境の違いや釧路湿原が環境の変化や開発などにより減少していることを聞き、壮大な自然と希少な野生生物を守るために真剣に環境問題などについて考え、行動しなければならないと感じました。
昼食後、4日間過ごした北海道をあとにし、横浜へと移動をしました。4日間、あっという間に過ぎ去っていきましたが、全員が元気に過ごすことができ、充実した北海道研修となりました。
横浜へ移動したあとは、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)で活躍されている木戸ゆかり先生に講義をしていただきました。本来であれば中学3年生のMSツアーでJAMSTECを訪れる予定でしたが、新型コロナウイルスの影響で叶わず、そのときはオンラインで講義をしていただいていました。今回、2年越しに対面することができ、オンラインとは全く異なる熱を感じることができました。内容も前回のオンラインのときの質問を基に、船の上での安全対策や東日本大震災のときのお話、新型コロナウイルスへの対策やマイクロプラスチック、T-リミットについてなど、本当に盛りだくさんでした。特に印象に残ったのは「ちきゅう」に乗るためには、4年に1度サバイバル訓練センターで訓練を受けなければならないということです。ヘリコプターからの脱出訓練や海で身の安全を守るために必要な訓練を行うということでしたが、今までに考えたこともないような厳しい内容の訓練の数々に驚くとともに、訓練が行われることになった経緯や八戸の海にいたときに起こった東日本大震災のときのお話から、備えることの大切さを学ぶことができました。また、講義の際にハザードカルテというものを教えていただきました。ハザードカルテとはすでに想定されている地震があり、さらに各土地の地盤情報を入れることで、その危険度を可視化したものです。自分の知りたい場所の住所を入力するだけでその情報を得ることができるため、これを活用し、正しい情報を得て対策を考えることで、地震が起きた際にも落ち着いて行動することができると考えられます。今回、ハザードカルテを教えていただき、地震大国と呼ばれている日本で、近年他の自然災害に見舞われることも多くなってきている今、さまざまなツールを正しく活用し、身の安全を守るために必要なことを考えることが大切であるということを学びました。講義の最後には質問をする時間もあり、地震が起きた際、海の上では主要動が伝わらないくわしい理由や女性研究者ならではのお話も聞くことができ、とても貴重な時間を過ごすことができました。
いよいよ明日がMSツアー最終日です。最後の最後まで健康に気をつけ、充実した1日を過ごしたいと思います。

〜3日目〜
いよいよ折返しとなった3日目は、まず阿寒湖遊覧船に乗って、チュウルイ島にあるマリモ展示観察センターに行きました。マリモは1897年に阿寒湖で発見され、1921年に天然記念物、1952年に特別天然記念物に指定されました。群生した球状のマリモは、世界でも阿寒湖を含めて2か所しかなく、さらに世界中のマリモの起源は阿寒湖のものであるという研究発表もされているくらい貴重であるマリモの生態や一生について、短い時間ではありましたが、学ぶことができました。特にマリモの一生を説明しているコーナーでは、マリモの誕生から大型化、空洞化まで映像や実物が説明と合わせて展示されており、生徒たちは興味津々で見学していました。
阿寒湖遊覧船に乗ったあとは、アイヌコタンで古式舞踊を見学し、アイヌについての講話を聞きました。アイヌとは北海道の先住民族のことであり、人間ということを意味しています。アイヌの方々は自然界の多くのそのものはカムイ(神/霊)の化身であり、神が動物や衣服などさまざまな姿、形をまとって人間の世界にやってきていると信じてきたそうです。また、アイヌの精神性の本質は尊敬と感謝の念だそうで、見事な工芸の技や豊かな口承文化の伝統なども私たちを取り巻く壮大な自然と緊密に結びついています。今回、古式舞踊のそれぞれの意味や講話を聞き、アイヌの歴史などに今まで以上に触れたことで、多くのことを考えることができました。
3日目最後は阿寒国際ツルセンターで研修を行いました。タンチョウは日本では北海道の道東にのみ生息しており、特別天然記念物に指定されています。まずタンチョウの1年を映像化した映画を見たあと、河瀬様に館内及び野外飼育場を案内していただきました。案内の中で、江戸時代までは各地で観察されていたタンチョウが、明治時代以後、狩猟や開発の影響で絶滅したとさえ言われていたことや、現在の給餌活動のこと、地球環境の変化や開発などの影響でタンチョウが生活する湿原が少なくなってきていることによるタンチョウの生活環境の変化など、さまざまなお話を聞くことができました。野外飼育場では飼育されているマナヅルやタンチョウを見ながら、普段のタンチョウたちのようすを聞くことができ、とても充実した時間を過ごすことができました。中でもタンチョウは給餌活動の成果もあり、個体数が増加してきているが、それに反比例するようにタンチョウが生息できる湿原が減少しているということが生徒の印象に強く残ったようです。このままこのような状況が続くともう一度絶滅の危機に陥るかもしれないということも聞き、タンチョウだけでなく、現在同じような状況にある動植物を守るためにできることを真剣に考えなければならないなと感じました。
3日目は環境問題などについて、深く考えさせられるきっかけが多くあった1日でした。今日感じたこと、考えたことを忘れずに、今後の生活に活かしていきたいと思います。


〜2日目〜
1日目の報告会は、3年ぶりの報告会ということもあり最初は緊張もありましたが、質問も多く出て、活発な会となりました。
2日目も全員元気に出発し、午前の研修地へと向かいました。
当初の予定では、午前は知床半島の遊覧船に乗るはずでしたが、強風と高波の影響で欠航となったため、知床五湖のフィールドワークを行いました。知床五湖の地上遊歩道に入るには、まず最初にレクチャーを受けなければいけないのですが、そこでは「ヒグマの住処にお邪魔する」と「植生を守るために行うこと」を基本とし、地上遊歩道に入るための準備やヒグマと出会ったときの対処法などを教わりました。しかし、ヒグマと出会ったら100%の対処法はないことから、出会わないために気をつけることが大切だということを教えていただきました。
レクチャーの後は、知床五湖を回る遊歩道へと出発しましたが、途中強風の影響で遊歩道の一部が閉鎖されることとなったため、5湖、4湖、3湖を見たところで残念ながら引き返すこととなりました。
すべてを回ることはできませんでしてが、手付かずの状態で残っている自然を間近で見ることができ、知床ならではの植生を知ったり、この自然を守るために自分たちができることは何か、考えるよい時間となりました。
午後からは野付半島でフィールドワークを行いました。野付半島は日本最大の砂嘴であり、湿地に関するラムサール条約にも登録されています。今回はガイドさんから野付半島ができた歴史を教えていただいたり、遊歩道を一緒に歩きながら野付半島ならではの植物の観察や海水によって浸食され風化したミズナラが立ち枯れたまま残っているナラワラを観察しました。また、野付半島は野鳥の楽園と言われており、アカアシシギやタンチョウをはじめとした数多くの野鳥を見ることができます。今回は強風ということもあり、野鳥はあまり多くありませんでしたが、バスの中からタンチョウを見ることができ、野鳥の楽園を少し感じることができました。生徒たちは、事前に調べた上で疑問に思っていたことをガイドさんにたくさん質問し、あっという間に時間が過ぎていきました。
夜の報告会では、自分たちが発見したことだけでなく、環境を守るために自分たちができることを発表する班がいるなど、雄大な自然と1日向き合ったからこその報告会となりました。

〜1日目〜
1日目は、北海道の博物館網走監獄とオホーツク流氷館で研修を行いました。
博物館網走監獄は、北海道開拓の幕開けを語り継ぐ貴重な存在となっています。また、博物館に移築復原された旧網走刑務所の建物のうち8棟が重要文化財に指定されています。生徒たちは、リアルな人形や映像、資料などから網走監獄での生活や開拓の厳しさを学ぶだけでなく、西洋と和の建築様式が融合した建物の数々を目の当たりにし、時間が過ぎるのを忘れるぐらい熱中して見学をしていました。
その後訪れたオホーツク流氷館では、流氷ができる理由を詳しく説明していただいたり、−15℃の部屋で本物の流氷に触れたりしました。流氷ができるのは寒いからだと今まで思っていましたが、そうではなく、「オホーツク海の構造」「アムール川から流れ込んでくる真水」「シベリアの冷たい風」という3つの理由があることや、流氷の天使と呼ばれているクリオネの生態など、とても興味深い内容を学ぶことができました。
全員元気に過ごしており、本日はこれからホテルに向かい、夜の報告会に向けて準備をします。
3年ぶりとなる今回のMSツアーは中学高校のMSツアーの集大成となります。研修先は北海道・横浜と大移動を伴いますが、実りある研修になるよう、体調管理もしっかりと行いたいと思います。