本校では「総合的な探究の時間」を「MS(武庫川サイエンス)タイム」と称しています。
中学1年から高校3年まで、隔週土曜日に2時間連続で、いろいろな探究活動を行っています。この時間の目的は、「これからの社会に対応できる力を身につける」です。本校ではこの力を8つに分解して、高校卒業時に以下のような力がついていることを目標として、段階的に学習して行きます。
読解力 | 興味がある分野についての初歩の専門書を読むことができる。特に論理展開が理解でき、自分の考えと照らしあわせることができる。 |
思考力 | 論理立てて考え、根拠を示しながら、他者に納得が得られるようにまとめることができる。物事を主体的にかつ多方面から捉えることができ、最終目標・調査方法を自ら考え、創造的に組み合わせることができる。 |
対話力、表現力 | 自らの研究を、多数の聞き手に対し、わかりやすく大きな声で堂々と発表し、質問や疑問には(不鮮明なところは質問して明確にし)、質問者が納得する回答をすることができる。 |
課題設定力 | 社会の現状から出てきた疑問や問題に対して、先行研究を踏まえ、探究の意義を明らかにした課題を設定することができる。 |
協働的課題解決力 | グループ内で生まれた考えを大学や研究者、企業の方々との連携・交流・意見交換を通して、より高度な探究活動へと発展させ、課題解決に取り組むことができる。 |
データ収集力 | 分野の壁を超えた多面的かつ大規模なデータ収集を効率よく行うことができる。 |
データ分析力 | データを分析し、その結果から新たな提案ができる。データ等の量も十分で、正しく分析することができる。 |
創造力 | 先行事例を十分理解したうえで、新しい発想で、柔軟に対応しながら、具体的に実現化を考えることができる |
これらの力をつけるために、次のようなプログラムで実施して行きます。
1年次 | 探究学習の進め方を学び、「読解力」「データ収集力」を身につける |
2年次 | 1年次の検証から、より深い探究をもとに実践まで繋げ、「課題設定力」「協働的 課題解決力」「データ分析力」を身につける |
3年次 | 2年間の活動をもとに、論文にまとめ発表することで、「思考力」「対話力・発信 力」「創造力」をさらに身につける |
生徒はiPadを利用して資料の検索、パワーポイントやポスター作成を行い、自己評価用ルーブリックもGoogle フォームを利用して行います。
またクラスに複数の担当者を割り当て、全校的に指導体制を作っています。生徒はワークシートを毎時間残していき、評価の参考とします。
ここでは今年度CGコースの高校生が取り組んだMSタイムについて、ご紹介します。
1 高校1年
1年では、探究活動の進め方を身につけ、テーマの設定方法について学習して行きました。
本校ではSDGsの目標を6分野「食料」・「環境」・「住み続けられるまちづくり」・「ライフサイエンス」・「エネルギー」・「先端技術」にまとめ、各クラスの中を6つに分けてグループで探究活動を行います。1学期は6分野の専門家から各自自由に4つを選び、講義を受け興味関心を深めました。その関心を基に夏季休業中に資料調べを行いました。2学期から探究に入り、内容をポスターにまとめクラス内で口頭発表を行い、優秀グループがクラス代表として学年集会での発表と12月に行われたSSH成果発表会で発表を行いました。今年度の3学期は2年生の発表会を見学する予定でしたが、新型コロナのため予定が変更になり、2年生の優秀作品の発表を動画で視聴しました。また来年度の探究テーマを考えるために、朝日新聞「朝日SDGsジャーナル」を活用しました。
2 高校2年
2年では、データの収集とその分析、検証結果からの深まりに重点を置きました。
1年で考えたテーマの中で、よく似たテーマ毎にクラスの枠に関係なく班を作りました。班がどういうテーマで研究するのかテーマ設定に時間をかけ、1学期に大体の方向をまとめて学期末に中間発表会を行いました。2学期には夏季休業中に調べたことを基に内容まとめ、1年で講義を受けた専門家の方からアドバイスを受けました。それを参考にさらに内容を検討し、ポスターにまとめました。分野ごとに発表会を行い選出された優秀作品は、12月に行われたSSH成果発表会でポスター発表・口頭発表を行いました。いろいろな班の発表を聞き今後の参考にするために、3学期に学年発表会を実施する予定でしたが、新型コロナのため予定が変更になり、1回は学年の半数の生徒が一斉にポスター発表を行いましたが、残りの半数は一斉発表ができず、テーマ別教室での発表となりました。また3年で取り組むテーマも決める予定でしたが、これは春休みの宿題となっています。
3 高校3年
3年では、今まで2年間の活動から、社会に対しどのような提言をすればよいのかを考え、高校での集大成として論文にまとめました。個人での論文作成に入るので、各自のクラスでの作業となりました。1学期最終回にクラス内で論文を回し読みし、それぞれが疑問に思ったこと・もっと知りたいと思ったこと等を「ワークシート」の質問事項に記し、その質問事項をもとに夏季休業中にさらに内容を深めて、2学期にまとめました。その後クラス全員が一人ずつパワーポイントを利用して口頭発表を行いました。その中からクラス代表を選出し、12月のSSH成果発表会で口頭発表を行いました。卒業時に論文として提出しました。
参考 今年度の高校1年年間計画
時間 | 内 容 | 資料 | |
4/17(土) | 1 | 「データサイエンスとは何か」 滋賀大学 データサイエンス学部 田崎准教授による講義 |
0 本年度のMSタイムについて 1ワークシート |
2 | 「MSタイムとは?」 アカディミア探究部による講義 これからの取り組みについて |
2 MSタイムオリエンテーション 2-1ワークシート |
|
5/1(土) | 3 | 前回の講義のアンケート 昨年の取組やSDGsに関する発表動画を参考に鑑賞 |
3 講義希望調査 3-1動画を見た感想 |
4 | グループで課題を見つける、活動講義の選択 | 4 MSタイムノート 4-1ワークシート |
|
5/15(土) | 5 | 専門家による講義(1) | 5 専門家一覧 5-1 各時間ワークシート |
6 | 専門家による講義(2) | ||
5/29 (土) | 7 | 専門家による講義(3) | |
8 | 専門家による講義(4) | ||
6/26(土) |
9 | 「調べ方」「まとめ方」について説明、 | 7 ワークシート |
10 | 夏休みの分担 | 7-1 生徒用ルーブリック | |
9/4 (土) | 11 | 夏休みの内容まとめる 探究学習 | 8 進め方 |
12 | 夏休みの内容まとめる 探究学習 | ||
9/18(土) | 13 | 探究学習 | 9 進め方 |
14 | 探究学習 | ||
10/2(土) | 15 | 探究学習 ポスターにまとめる | 10 進め方 |
16 |
ポスターにまとめる |
||
10/16(土) |
17 |
ポスターを仕上げる |
|
18 |
武庫川女子大学薬学部見学 |
||
10/30(土) |
19 |
ポスターを仕上げる、発表の練習 |
12 進め方 |
20 | 発表の練習 | ||
11/13(土) | 21 | クラス内発表 | 13 評価表 |
22 |
クラス内発表 |
||
11/27(土) |
23 |
学年発表 |
|
24 | 学年発表 | 14-1 評価表 | |
12/18(土) |
SSH成果発表会 | 代表班発表 | |
1/22(土) | 25 | 朝日新聞「朝日SDGsジャーナル」を使って | 15 ワークシート |
26 | 朝日新聞「朝日SDGsジャーナル」を使って | ||
2/5(土) | 27 | 2年生の発表動画を視聴する | 16 ワークシート |
28 | 2年生の発表動画を視聴する | ||
2/19(土) | 29 | 1年間のまとめと来年のテーマを考える | 17 MSタイムのまとめ 17-1 来年の活動 7-1 ルーブリック |
30 | 1年間のまとめと来年のテーマを考える |