高校グローバル研修2日目 北欧
2日目は朝からホテルのラウンジで集合し、昨日の振り返り・感じたこと、発見したことの共有会をし、今日の行程確認をしました。
今日はInternational People’s College(IPC)へ行きました。
ここはデンマークのフォルケホイスコーレ校のうちの一つですが、まずはフォルケホイスコーレの説明をします。
1700年代〜1800年代のデンマークは、農民が多く、市民は教育にかける時間がありませんでした。そこで、デンマークの牧師、作家、詩人、哲学者、教育者政治家でもあるグルントヴィさんが、「デンマークの国家が持続可能であるために、教育を広めたい、さらにデンマーク人がデンマーク人であるアイデンティティをもってもらいたい」という思いから、できた学校がフォルケホイスコーレです。評価も、成績も、入試もない学校であり、民主主義であること、さらには学費も3分の2はデンマーク政府が負担してくれます。
フォルケホイスコーレには、学校ごとにコンセプトが異なり、今回訪問した学校は「政治学」や「国際理解」のプログラムに特化しています。なぜならば、この学校の創設者であるピーター先生が「第一次世界大戦で人々は深く傷つき、2度と戦争をしてはならないと考えました。世界平和へのステップとして、世界中の人々が1カ所に集まり、ともに生活をし、毎日話し合うことが大切である」と考え、このIPCが創設されたからです。
本校生徒たちは、IPCに到着後、校庭でvice principalであるトーマス先生より、簡単にIPCのコンセプトを聞き、校内見学が始まりました。
ここからは見学した場所の紹介と、実際に本校生徒が過ごした様子を紹介します。
現在はアートの授業で使う教室ですが、100年以上通常教室で使っていたそうです。アートの授業は、日本の「美術」の授業とは異なり、例えば「トランプさんがアメリカの大統領になり、何が変わった?世界はどのように変わった?」という議論を生徒たちがした後、それを述べるだけでなく、粘土や絵で表現するのが、アートの授業だそうです。
ダイニングルームでは、先生も生徒も、先生の子供もみんな一緒に食事をとります。また、食事のあとはみんなで洗い物もします。
肉類を食べることは気候変動に繋がるため、持続可能な地球環境を守るために、肉は少なめに、野菜が多めな食事となっています。
↓ そのダイニングルームでランチが始まる前に、トーマス先生より紹介していただいている様子と、ランチ後の本校生徒とIPC生の様子
コモンズルームは、この学校の心臓にあたる場所で、みんなの憩いの場だそうです。
↓ランチ後にコモンズルームで本校生徒とIPC生が交流している様子
体育館はスポーツするだけでなく、自分の出身国と文化をプレゼンしたり、劇をしたりする場所でもあるそうです。
発表方法は、ダンスでも歌でもなんでもよく、ここにいる間に、自分を表現しなければならないようで、唯一強制的にしなければならない取り組みをここでするそうです。
UN(国連)ルームと呼ばれるこの部屋に、毎日集まり、何があるか共有したり、毎日歌を歌うそうです。
トーマス先生がピアノで弾き語るジョンレノンのImagineに合わせて、全員で歌いました。
IPCのコンセプトとマッチしている歌を歌い、みんながひとつになる気持ちが芽生えました。
ここの自然の世話をするのも授業の一環であるそうですが、木を切ったりなどはしないようです。これまでは建物にお金をかけてきて、この自然を整備するお金がなかったそうですが、いよいよ必要経費が貯まったため、この9月に整備するのだと嬉しそうに教えてくださいました。
最後は、ロド先生がフォルケホイスコーレおよびIPCについて、さらに詳しく紹介してくださり、質疑応答の時間がありました。
生徒たちの質問に対しても、すぐに答えを出すのではなく、どう考えるのか?なぜそう思うのか?を問いながら答えを導いてくださいました。
日本にもフォルケホイスコーレはありますが、なかなか身近にない学校を訪れ、実際にそこの学生と交流したり、先生の話を聞くことができ、「この学校へ通ってみたい」と口にする生徒もいました。