「貴女にとって、本当に大事なものは・・・」
~絵本「あらしのよるに特別編:しろいやみのはてで」をヒントに~
2月になり、卒業や進級で、今のクラスで過ごすのもあと少しですね。
今回は、「あらしのよるに特別編 しろいやみのはてで」(きむらゆういち作・講談社)をヒントに、友達や大切な人との関係の築き方や大事なものをどう見つけていくかについて、お話します。
オオカミのガブとヤギのメイは、嵐の夜、雷が怖くて、小屋の中に逃げました。真っ暗な中、声が聞こえてきて、誰かいるのがわかりました。ガブとメイは「自分だけじゃない。怖くて逃げてきた仲間がいる」と怖さを共有し、お互いに自分の思い出話をしている内に仲良くなります。真っ暗で相手の姿が見えないため、お互い自分と同じ動物の仲間と思ってしまいます。
昼間に会って、お互いの姿を見てびっくり。オオカミはヤギを食べ、ヤギはオオカミに食べられる関係だったからです。が、二匹は、自分たちの思いを共有した体験が忘れられず、仲間に隠れて、仲良い関係を続けます。ガブはお腹がすいて、「メイの耳をちょっとかじるくらいなら許してもらえるんじゃないか、いや、痛いかな」と、いろいろ葛藤しながら、食べないで、友情を続けます。
しかし、二匹の秘密が仲間にばれて、「裏切者!」と殺されそうになります。ガブは、一瞬オオカミの仲間を優先し、メイをだまそうとします。しかし、やっぱりメイのことが大事だと思った時に次のように語ります。
「なかまたちの言う通りに生きる方がどんなに楽なことか。…ごめんな、メイ。おいら、あの時、本当はあんたをだまそうと思ってたんだ。でも、生きるって、自分の足で歩くことを言うんでやんすよね。もう一度、あんたに会って気がついたでやんすよ」ガブは、仲間の意見に従うのではなく、メイを大事だと思うことに気づきました。
それに対して、メイは、次のように語ります。「ガブを選んだ時から私は今までの自分を捨てた。生きるということは選ぶということ。選ぶことは新しい自分に変わっていくことだったんだ。でもね、ガブ、私の中にいつまでも変わらないものもあるよ。おばあちゃんや…ヤギの仲間たち。みんなと過ごした楽しい時も、私の心の中の宝物」。メイは、ガブを選んだことで、自分の意思を大事にする、これまでにない自分に変わりました。しかし、すべてが変わったわけではありません。心の中に今まで大事だった仲間を思う気持ちもありながら、ガブとの関係を続けていきます。
ガブは、「おいらがオオカミであんたがヤギ。全然違うから面白かった。一緒にいるすべての時間が楽しかった。それなのに、ずっと一緒にいたら、お互いの違いが許せなくなった。ぶつかって、我慢して、吐き出して。心の中に嵐が吹き荒れて、…毎日毎日大変でやんした。それを乗り越えたから、おいらたち、今は本当の友達になったんでやんすよねぇ」と語ります。
私達は、友達や家族、クラブの仲間、先生やいろんな人との関係の中で生きています。楽しいことや悲しいことが共有できた時、「心から嬉しい、良かった」と思うことがあるかもしれません。「ずっと友達、ずっと仲間」と思うこともあるでしょう。でも、人にはいろんな面があるように、ずっと一緒にいたら、お互いのいろんな面が見えてきます。そうすると、嫌になったり、喧嘩することがあったり、このお話のように心の中に嵐が吹き荒れることがあるかもしれません。
でも、「これはどういう意味があるんだろう?」「本当に大事なものはなんだろう?」と考えたり、対話することで、大事なものが見えてきたり、相手との関係はより深まり、本当の関係が創れると思います。また、メイのように新しい大事なものが見つかっても、これまでの大事な関係も心に留めていくと、それは宝物として心の中に残っていくと思います。
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