「MUKOGAWA Brown Rice Week」~優しい気持ち~

本校のブラウン・ライス・ウィーク(Brown Rice Week)が始まることとなったのは、平成21年8月8日の皇太子殿下(現天皇陛下)の行啓があり、事前に大河原 量 学院長が殿下がオックスフォード大学に留学された2年間の思い出を綴られた、殿下のご著書(『テムズとともに』学習院教養新書)を読み、感銘を受けたことが契機となっています。
学院長が感銘を受けた、殿下の英国留学中の夕食について述べられた文章を書かせていただきます。

「夕食でもう一つ紹介したいことは、毎年、一週間にわたって行われるブラウン・ライス・ウィーク(Brown Rice Week)である。これは、フォーマルな夕食に限り、ブラウン・ライス(玄米)のみが出され、アフリカの飢饉や難民救済への資金を捻出する。すなわち、学生が食事に支払う費用は通常と同じであるが、食事はブラウン・ライスのみをサーブして、差額分をチャリティに当てるのである。このようなシステムがオックスフォードにあるのは、学生たちの苦しんでいる人々への理解を増すことになり、すばらしいことである。一九八三年のミクルマス・タームには、三百二十一ポンド(1ポンドは、同年十月で日本円にして三百四十八円)がセイブ・ザ・チルドレン基金(Save The Children Fund)に送られた。私もブラウン・ライス・ウィークの期間にフォーマルな夕食に数回出たが、ブラウン・ライスだけの食事にはいささか不足気味であったものの、一つ善行をしたという満足感を味わった。」
(『テムズとともに』学習院教養新書)

皇太子殿下とのご会話の折、大河原学院長がブラウン・ライス・ウィークに感動された旨をお話しになると、殿下はとてもお喜びになられました。学院ではこれを機に、毎年、数回「ブラウン・ライス・ウィーク」を実施しています。中高では、今週(2月2日から今日5日まで)玄米を使ったメニューを食堂で提供しました。
メニューは家政部の生徒が考案したものもあり、玄米カレー、チキン南蛮・タルタル丼などが提供されました。
平成22年5月10日の第一回、ブラウン・ライス・ウィーク、家政部の生徒たちが友達を誘ってブラウン・ライスを食べました。私も食べましたが、正直、白米のご飯に比べると、少し堅く、芯が残っているような状態でした。部員が「おいしくなかったら、無理しないで残してね」と声をかけ、友達は「おいしいよ!」と言って食べていたことが記憶に残っています。ブラウン・ライスウイークが始まって12年、家政部の協力もあり、おいしくなりました。何十回も玄米メニューを食べたことがあり、玄米カレーを注文した北村先生は「ブラウンライスのカレー、健康にもいいですけど、スパイシーで普通のカレーよりおいしいんですよ!」チキン南蛮・タルタル丼もおいしそうに生徒たちが食べていました。
ブラウン・ライス・ウイークで得られる差額の金額は、本当にわずかな金額ですが、玄米ご飯には、天皇陛下、学院長、そして注文してくれる先生や生徒たちの優しい気持ちがこもっています。