『できることから踏み出してみよう!』

~「続・僕を探しに ビッグ・オーとの出会い』のお話から~
(シェル・シルヴァスタイン 倉橋由美子訳 講談社)

 

もうすぐ夏休みですね。いろんなことに挑戦できるといいですね。でも、挑戦にはエネルギーが要り、不安や怖さがつきまといます。今回は、その不安や怖さがある中で、どう挑戦していくかについてのヒントについてお話します。

春号では、ぼくがかけらを探しているお話でしたが、今回は、かけらが自分に合う相手を探す話です。
かけらは、1人で座っていました。誰かがやってきて、どこかへ連れていってくれないか、と待ちながら…。しかし、相手が来ましたが、かけらとの大きさが違ったり、相手が壊れやすくて割れたり・・・相性が悪く、うまくいきません。ある時、ぴったり合った相手に出会い、かけらはちょうど相手の欠けた中に入り、どんどん転がります。しかし、転がっている内にかけらは大きくなってきて、相手の欠けた部分と合わなくなりました。『(君が)大きくなるなんて知らなかったよ』と相手は去っていきました。

かけらが落ち込んですわっていると、様子が違う相手・ビッグ・オーが出てきて対話が始まります。

かけら「ぼくに何かしてほしいことはある?」 ビッグ・オー『別に』 かけら「君となら転がれるかもしれないと思ったのに・・・」ビッグ・オー『ぼくと一緒に転がるのは無理だ。…君ひとりなら転がっていけるかもしれない』 かけら「ぼく1人で?かけらは1人じゃ転がれないんだ」 ビッグ・オー『やってみたことはあるの?』 かけら「だって角がとがってるよ。転がるようにできてないんだ」 ビッグ・オー『角はとれて丸くなるものさ。…形は変わってゆくよ』そう言ってビッグ・オーはどこかに行ってしまいました。

その後、かけらは1人になって、長いこと、ただじっと座っていました。それからゆっくり体を持ち上げて先っぽで立ち…ひっくり返りました。体を持ち上げ・・・引っ張って・・・ひっくり返り・・・前進を始めます。そのうち角が取れてきて・・やがて形が変わってきて、パタンパタンじゃなくコトンコトンと行き始めます。そのうちポコンポコン跳ね始め、そしてコロコロ転がり出しました。

「どこへ行くかはわからない。ちっともかまわない。ぼくは転がってるんだ!」とかけらは感激します!

再びビッグ・オーが現れ、かけらビッグ・オーと並んで転がってるところでこのお話はおしまいです。

私たちは、自分では何もできない時、誰かに助けてほしいと思ったりします。でも、いつも相手が思うようにしてくれるわけじゃなく、どうしたらいいか困ることがあると思います。その時、このお話のかけらのように、途方に暮れてそのまま立ちつくしてしまうことがあるかもしれません。失敗したり、うまくいかなったりすると動くのが怖くなることがあるかもしれませんね。

しかし、動いてみないとわからないことや、失敗するかどうかわからなかったり、もし失敗しても、失敗したからわかることもあるかもしれません。そして、前に少しずつ進んでいくことで、いろんな可能性が広がっていくこともあると思います。新しいことに踏み出すには、不安や怖さが伴いますが、少しずつでも動いてみると、そこからまたどうしたらいいか、答えが見つかるかもしれませんね。

このお話の最後は、ビッグ・オーと一緒に転がっています。それは、助けてもらってどうにかしてもらうのではなく、一緒に歩いていく、ということが現れています。自分でも歩けるようになる、一緒に歩けるようになる、それが自立への一歩です。

もし、失敗するのが怖かったり、うまくいかないことがあったりした時は、カウンセリングルームを利用してくださいね。

 


 

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